ルート営業をしていると、商談によっては、お客様から商品・サービスの値引きをお願いされる事が有るかと思います。
自分も数々の商談等に関わって来ていますが、基本的に価格交渉有りきで商談が進む事が多かったりします。(これは業種によるかと思います。)
具体的な商品であれば、一つあたりの単価が高くても、複数購入、もしくは長期間の購入等で長期契約を結ぶ事により、合計価格を少し安くするなど、様々な価格交渉のパターンがあるかと思います。
営業マンとしては、値引きをお願いされた場合に、
「単価が少し安くても複数購入してくれるなら、目標売上、利益を達成しているから良し!」
「値引いてしまうと上司に怒られてしまうから嫌だな…。」
など色々な考え方があると思います。
今回は、価格交渉の場面に立ち会った際にどうやって対応するのがベストなのか?
自分の経験から考えて、むやみやたらに値引きをせず、お客様に良い印象を持って貰う為の価格交渉の方法をまとめてみました。
そもそも何故値引きをお願いしてくるのか?
そこの心理をしっかり分析してみないと、お客様が言っている事の意図が読み取りにくい場合があります。
お客様の意図が読めないと、こちらも対応のしようが無い場合がありますので、その辺りをしっかり分析してみたいと思います。
それでは、行きますね。
お客様が価格交渉をする理由
①気軽な気持ち、もしくは仕事の一貫としてお願いしている
商品やサービスに対しての価値観に対して充分な満足感を持っていて、予算も足りている状況だが、可能であればより安く購入したいと考えるお客様は少なくありません。
そういった場合に値引きをお願いして来たお客様がどういう気持ちで言って来ているのかは、表情やお願いの仕方などで推測出来ると思います。
こういう場合のお客様であれば、むやみやたらに駆け引きをする必要は無いと考えて下さい。
むしろ、こういったお客様に対して値引きをしてしまうと、「次も次も!」と言う気持ちで、値引きのエスカレートが発生してしまうので全くおススメ出来ません。
「このサービスはこの価格です。」
「この商品はこの価格です。」
と、しっかり線引きをする事が重要になってきます。
②単純に予算が足りないので、値引きが無いと商品・サービスが購入出来ない
商品・サービスに対する価値や魅力は十分に感じているものの、予算が足りておらず、購入を躊躇っている状況です。
この場合は、どうしても予算が確保できないお客様に対して、その予算が確保出来ないかどうかの確認、もしくは商品やサービスの形態を変えて、価格を下げる様な形で提供出来るかどうかを営業マンが考えると言う事も必要かもしれません。
また、単純に粗利を乗せている場合は、その粗利を削ってでも、商品・サービスの購入・契約に繋げる事も必要な場合がありますので、しっかりお客様と話し合いをする必要があります。
③価格に対して、価値が少ないと感じている
予算は足りている、もしくは決まっているが、商品・サービスに対しての価値がお客さんが望むレベルに達していない状況、と言うパターンがあります。
この場合は、お客様に対して商品・サービスの価値の説明が足りていないか、提案している商品・サービスがお客様にそもそも合っていない場合があります。
もしかすると、競合他社も同じ様な条件で商品・サービスを提案している可能性がありますので、競合他社と比べて何が違うのか?の観点で、商品・サービスの価格の説明をする必要が有ると思います。
それでもダメであれば、その場合は、商品・サービスの提供や契約を見送った方が良い場合も有るので、一概に「こう!」とは言えません。
改めて確認しておきたい。値引きをするメリットとデメリット
値引きをして来るお客様の心理が分かった所で、値引きをする事によるメリットとデメリットを考えてみたいと思います。
【メリット】
・値引きをする事によって、獲得出来そうだったお客様を確実に獲得する事が出来る。
・価格交渉に応じる事により、お客様との信頼関係を築く事が出来る。
・利益率の良い商品で有れば、多少の値引きをしたとしても売上・利益を確保出来る。
【デメリット】
・商品やサービスによっては、値引きをする事によって利益が確保出来ない場合がある。
・値引きをしたと言う前例を作ってしまう事により、以後の交渉が不利になる可能性がある。
・本来の価格で契約したお客様からの信頼を落とす可能性がある。
値引きをする事によるメリットも当然ありますが、デメリットもあります。
自分で判断出来ない場合は上司に相談するのが無難だと思います。
1回の値引きが、その会社としての姿勢を示してしまう事にも繋がりかねませんので、会社の方針にも影響すると言う事を頭の片隅に入れておいた方が良いと思います。
価格交渉を避ける、もしくは難なくこなす為の三つの事
値引きのメリット・デメリットを理解出来ると、極力価格交渉の場に持ち込まない方が商談がスムーズに進む、と言う事をご理解頂けるかと思います。
そこで、価格交渉を避ける、または価格交渉になった場合でも上手く話を進める為に必要な三つのコツを紹介したいと思います。
①商品・サービスの価値や魅力をしっかりと理解して貰う
お客様が「値引きをして欲しい!」という前に、しっかりと商品やサービスの価値・魅力を理解して貰えているかどうかを確認しましょう。
営業マンの説明不足により、価格が高いと感じている場合や、商品やサービスが魅力的でないと勘違いされているお客様がいる場合があります。
そういった場合は商品・サービスの価値をしっかりと説明をし、お客様に魅力的な商品・サービスであると言う事を伝えて下さい。
また、商品やサービスそのものの説明よりも、その先にあるメリットや費用対効果などを伝えて納得して貰う事が出来れば、予算面で難を抱えているお客様以外は契約をして頂けるかもしれませんね。
②値引きが出来ない理由を明確に伝える
ルート営業の法人営業であれば、商談やサービスの購入・契約ありきで価格交渉を進める場合も有ります。
その場合は、商品やサービスの契約が先に決まっていて、価格交渉を後から行う、と言う場合がありますので、そういった場合はどうしても値引きが出来ない場合があります。
一つの手としては、値引きが出来ませんと言う理由を明確に伝えるのが最もスムーズかと思います。
当然お客様にも事情はあり、予算の面などで値引きをして貰わなければいけないと言う心情は有ると思います。
ですが、こちらも値引きが出来ない理由をしっかり伝えないと、「言えば値引きをして貰える!」みたいな負のイメージを植え付けられてしまう可能性がありますので、毅然とした態度で臨むのがベストだと思います。
その代わり①でもお伝えしましたが、商品やサービスの価値や魅力をしっかり伝えられているかどうかを確認しましょう。
そうでないと、ただ単に融通が利かない営業マンと思われてしまい、ひいては会社のイメージにも悪影響を与えます。
③商品・サービスをの提供方法を変えてみる
①、②を試みても価格が高いと言う反応が返って来た場合は、商品やサービスそのものを見直してみるのも手かもしれません。
ルート以外の法人営業と言うのは、具体的な商品が何種類もあったり、サービスに関しても色々な形態が有りますので、その中から幾つかを提示してお客様に選んで頂くと言う形を取る事も出来ます。
単純に予算面で制約があるのであれば、より安価な商品やサービスを提供するのか?
納期が厳しいのであれば、スピード重視で納品する方法を選択するのか?
諸々の事情を加味してどうするか?はお客様との話し合いの中で決めて行ければ良いと思いますし、話し合いをすることにより、お客様との距離感をぐっと縮める事が出来ます。
それでもダメな場合は、自分の会社で提供出来る商品やサービスの範疇を超えてしまっている場合がありますので、素直に、
「申し訳ございませんが、弊社では対応が難しいです。他社様の商品やサービスを検討されてみるのも手かと思われます。」
と伝えてみるのも手かもしれませんね。
価格交渉に関しての二つのコツ
価格交渉に関して言うと、営業マンから積極的にする必要は全く無く、むしろ避ける為にはどうするべきかと言う所を考えるのが営業マンとしては必須です。
ただ、上でもお伝えしている様に、価格交渉というのは避けて通れない場面が多々あります。
その場合の価格交渉中の具体的なコツを二つお伝えしようと思います。
①明確な最低ラインを確認する
お客様の予算を気にする事も勿論大切ですが、自分の会社の売り上げや利益目標も当然大事です。
どこまでだったら値下げ出来るのか?と言う所を事前に抑えておかないと、お客様のペースで交渉が進んでしまい、結果として「仕事は受注出来ましたが赤字でした。」と言う事になりかねません。
交渉の場に臨む前にしっかりと社内で確認をし、「どこまでなら値引きしても良い!」と言う最低ラインを設ける様にしましょう。
②お客様には、価格交渉に前向きな姿勢を見せる
価格交渉中は、お客様に対して必死で価格交渉の調整をしていると言う姿勢を見せて下さい。
値引きをする=売上が下がると言う事ですので、社内からは値引きに後ろ向きな声が聞こえて来る事が多いです。
そうすると、営業マンと言うのはどうしても価格交渉に対して後ろ向きな姿勢で臨まざるを得ない事もあります。
しかし、予算が無いお客様であっても、商品・サービスを提供してメリットを体感して貰うには、営業マンが一生懸命前向きに価格交渉に臨んでいると言う姿勢を見せるしかありません。
嫌々値引き交渉に応じているのでは無く、前向きに検討してくれている事がお客様に伝われば、仮に値引きが出来なかったとしても、真摯に対応してくれる営業マンの姿勢にお客様も心を打たれ、より強固な信頼関係を築く事が出来るかもしれません。
信頼関係が出来れば、その時はダメでも、いつか他の商品やサービスを提供する機会に恵まれる可能性にも繋がりますので、そういった所も抜かりなくやっていけると良いでしょう。
まとめ
価格交渉をしてくるお客様は必ず居ます。
そして、「値引きをして欲しい」と言う発言には様々な意図が見え隠れしています。
どういう意図が隠れているのか?と言う所をしっかり見極め、それに対して適切な対応をすれば、お客さまの信頼は上がる一方なのが現実です。
(つまり、結果によらないと言う事)
・価格交渉にならない為にはどうするか?
・価格交渉になった場合はどういったポイントを抑えるべきか?
こう言った所を、知識と経験でしっかりと習得し、お客様にも納得して貰いつつ、会社の売り上げや利益を下げないための営業マンの立ち回り方をいち早くを覚えるのが、一流のルート営業マンに近づく道だと思います!